川獺伏草  ~おがどらの雑記ブログ~

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新劇場版:エヴァンゲリオンシリーズに対する、私の解釈

 いよいよ公開が明日となった『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』。自分が今考えているエヴァシリーズに対する解釈を述べていこうと思います。100人居たら100通りのエヴァシリーズに対する考え方がありますし、そうした事に対して「考察」と仰々しく表現するのは気がひけるので、「解釈」としようと思います。無いとは思いますが、シンエヴァのネタバレを含む可能性があるのでお気をつけください。(クリエイターは観客の予想を裏切るのが仕事なので、そういったことは無いと信じたい。)あとTwitterで色々言ってましたがそこからも若干解釈を変更しています。

 

 

 

 

  新劇場版には地球が2つだのシンジは転生しているだのQのアスカは式波じゃなくて惣流だの色々な解釈があると思いますが、一つ言えることとして

  • 碇シンジくんが主人公である
  • 映画はそれ自体で完結する

 ということは言えると思います。1つ目は自明ですね。ここで「残念!綾波レイが主人公でした〜!」ってことは無い(と信じたい)です。

 2つ目は、旧劇(アニメシリーズ)を視聴していない層がいることを踏まえれば(ややメタ的でありますが)新規顧客獲得の為に必要だと思います。流石にココで「アニメ全話観てるよね?そのストーリー知ってる前提で進めるよ?」としてしまえば、映画の評判は下がってしまい、せっかく序破Qで獲得した顧客も離れてしまうと予想されます。

 なぜそんなことを突然話したのかというと、以下の情報からこうした結論が導かれるからです。

  • 映画は碇シンジくんを主人公とし、それ自体で完結する

 いや、さっき言った2文を繋げただけじゃねーか。

 でもこれって大事なことだと思うんです。

 「地球が2つだのシンジは転生しているだのQのアスカは式波じゃなくて惣流だの」といった解釈は、旧劇の続きとして新劇が描かれたと仮定した場合に導かれる解釈の類いだと思うんです。地球が2つあるのは旧劇のサード・インパクトが発生したからで、シンジは旧劇の世界から新劇に転生したわけで、アスカに式波じゃなくて惣流という名字が存在するのも本を正せば旧劇が存在するからなわけです。私の言いたいことは、新劇を碇シンジ視点で見れば、物語として成立するように作られているということです。

 だから、Qを観たときに我々が意味不明だった場所も、碇シンジ視点では何が起きているか意味わからなかったからであり、シンエヴァではその種明かしがされると考えています。

 ちなみにシンジくん視点で新劇を鑑賞したばあい、時系列順には以下のようになるのではないかと考えています。

  1. 序・破に該当する出来事が発生
  2. 初号機が覚醒してトリガーとしてニア・サードインパクトが起きる(カヲルくんの言うサード・インパクト)
  3. 碇シンジくんは初号機内に取り残されたまま、碇ゲンドウとカヲルくんが対立
  4. なんやかんやあってサード・インパクトの続きが起こってしまい、世界が改変
  5. シンジくんを含む物体が衛星軌道上に取り残される
  6. 碇ゲンドウとカヲルくんが和解
  7. 改変された世界に現れたWILLEがシンジくんを含む物体を回収

 1,2はおそらく問題ないはずなので、3から説明します。

 初号機が覚醒した際、加持さんが「こりゃあZEELEが黙っちゃいませんよ」と言った思います。その結果としてZEELEの送り込んだ使者であるカヲル君が現れて、サードインパクトを阻止しようとした。「しようとした」と書いたのは、結果として防げなかったんじゃないかと思うからです。少なくとも碇ゲンドウとカヲルくんは、破終盤では対立していたと考えられると思います。でもQではカヲルくんはNERVに居た。ゲンドウの指示に従い、第13号機に乗った。なんらかの和解があったのでは無いでしょうか。例えば「世界をやり直す」という共通の目標によって。

 Qは衛星軌道上にあるシンジくんを含む物体を回収するところから始まります。破終盤では槍で刺されて地上で停止したはずですから、何らかの事故が起こったと考えるのが妥当ではないでしょうか。それがサードインパクト(の続き)であると私は考えています。

 Qではミサトさんを始めとする登場人物の人格が変わってしまったかのように(少なくともシンジくん視点では)描かれています。破終盤で「行きなさいシンジくん!誰かのためじゃない!あなた自身の願いのために!」と言ったはずなのにQでは手のひらを返したような「あなたは何もしないで」ですからね。というより「碇シンジくん…で、良いのよね?」というセリフから本当は碇シンジという人物に直接会ったりしたことが無いのではないかとすら思ってしまいます。サードインパクトの影響で記憶や人格に大きく変化が起こったのではないでしょうか。破終盤では少なくともそのような素振りはありませんから、いわゆる空白の14年の間に起きた出来事でしょう。

 碇ゲンドウからしてみれば、シンジはフォース・インパクトを起こすために必要なピースであるはずですから、出来ることならば自分の(物理的な)近くに置いておきたいでしょう。ゲンドウにとって一番都合の良い展開は、シンジくんが目覚めた時点でNERV施設内にいて、ゲンドウが指示を直接行うことの出来る場所にいて欲しいはずです。ですがそうではなかった。何らかの事故、あるいはZEELEによる仕業で衛星軌道上に放り出されてしまったのではないでしょうか。事故とすれば、サード・インパクトがもっともしっくりきます。

 その後に、カヲルくんがNERV施設内にいる事象が起こったのではないかと考えているのは、カヲルくんがゲンドウに手を貸すとすれば、その条件として少なくともサード・インパクトの停止はあったのではないかと思うからです。

 だいたい上記のようなことが起きたあと、Q冒頭に繋がるのかなぁと考えています。

 そして、序破Qの1.0, 2.0, 3.0というナンバリングを踏襲するのなら、3.0 + 1.0は3.0の補足(現状の説明)から入り、「:||」、つまりリピートにあたる事象が起きて1.0をやり直すのではないかと考えています。

 リピートにあたる事象は後に述べるとして、1.0が始まりエヴァとバイバイする流れになるのではないかと考えています。エヴァと「さようなら」する手段には、真希波マリ・イラストリアスが深く関わってくると考えています。マリがどうやってエヴァを消すのか、エヴァを消す目的とかそこらへんは

エヴァで多くの人が気付いていないこと その16 | ひとりよがり日記

 ここに書いてある通りだとぼくは考えています。最後にマリ活躍させなかったらいつ活躍させるんだ、という少々自分の願望が入ってしまっていますが。

 空想ですが、流れとしては

  1. シンジが放浪する
  2. そこで、誰かと出会う
  3. シンジが希望を見出す
  4. 5人のエヴァパイロットが協力し、1.0が始まる地点に戻る(シンジくんがミサトさんと出会う前、綾波レイの亡霊がみえたとき辺りに戻る)
  5. シンジはすべてを理解し、エヴァとさよならする

 1の放浪ですが、Q最後の予告(最近変わったやつの前のやつ)で「生きる気力を失ったまま、放浪を続ける碇シンジ。たどり着いた場所が彼に希望を教える。」というところから推測しました。日本アニメ(ーター)見本市の内容とも矛盾しません。

 そこでたどり着いた場所で誰かと会うのではないかと考えています。

エヴァで多くの人が気付いていないこと その9 | ひとりよがり日記

 を参考にすれば、そこでアスカと会う、ということになりますが「映画だけを見たときに完結する」という私の仮定に基づけば、惣流と式波が並ぶのは無いんじゃないかな、と思ってしまいます。もちろん、そこでサード・インパクトの詳細が語られ、観客に納得の行く説明が出来れば良いのですが。(それだけの尺がありそうではある。)

 個人的には綾波レイ、それも「破で助けた」通称ぽか波と呼ばれるレイが妥当なんじゃないかと考えています。また、説明役に適任なマリ、という可能性もあります。マリがすべてを説明して希望を持てる、みたいな。その両方という可能性や、全く別の人物のような可能性も否定はしきれませんが…

 そしてゲンドウとなんやかんやあって1.0の冒頭に戻ります。「自分の願望は、あらゆる犠牲を払い、自分の力で実現させるものだ。 」という台詞から、それなりの代償を支払ってもおかしくないと考えています。例えば、「ここ(エヴァ)でしか生きられない」綾波レイとの別れ、とかでしょうか。

 1.0冒頭の「レイの亡霊が見えたシーン」を直接指定したのは、なんとなくそう思ったから、というだけです。でも旧劇や序にも度々出てきたあのレイ、なんとなくセーブポイントっぽいな、と思ってしまったので。

 情報(記憶)を1.0に持ち込んで改変するパターンは、2通りあるのではないかと考えています。

  • 記憶を保持したまま戻る(やりなおす)
  • 未来の情報を過去のシンジに送る

 記憶を保持したまま戻るのは、単純にエヴァに乗ってインパクトを起こせば良いです。エヴァは度々作中で「方舟」という表現をなされています。ノアの方舟のエピソードをベースにするなら、大洪水にあたるものが「インパクト」でしょう。ノアの方舟では「種」を保存するために乗り込みましたが、エヴァは「魂」を乗せる乗り物だと考えれば、記憶を引き継げると考えられます。サード・インパクトにおいてシンジくんは初号機に乗っていた為に記憶の継続性はあるもののWILLEのメンバーには無い、とすれば納得できる話かと思います。

 未来の情報を過去のシンジに送るのは、『未来からのホットライン』(シンエヴァ副題、「Thrice Upon a Time」の元ネタ)をベースに、なんらかの情報を受け取った状態で始まるというものです。私自身執筆段階では読了していないのでなんとも言えませんが、なんとなく

  • 情報を過去に送った時点で、過去の世界が改変されて未来に起こり得た事象が起こらなくなる(可能性がある)

 という性質を持っているかと思います。

有名ゲームにも影響与えたシン・エヴァンゲリオン副題の元ネタ原作本を紹介解説【おまけの夜】 - YouTube

 私はネタバレを防ぐために観ていませんが、だいたいこのような感じかと。というか複雑怪奇な世界線のお話なので、原作の4章を読むか上記の動画を見て現象を理解してください。私はその性質をうまく表現できない。

 そこで「過去に情報を送る手段」として用いられるのが公衆電話で、公衆電話から未来の自分から色々教えてもらうとすれば、めちゃくちゃ胸アツ展開だと思うんですよね。綾波レイの亡霊が出てくるのはその直後だし。序では無表情でしたが、微笑んでたりしてたら泣いてしまいそう、というか想像しているだけで泣けてくる。

 

 

 

 

 

 

ここまでが前置きです

 

 

 

 


 これやってみたかった。(この時点で4000字超えてて草)

 これが新劇のみを利用した解釈であります。つまり、旧劇を用いることによりシンジくん視点でない、世界全体について分かるのではないかと考えています。(もちろんマリの正体や目的、といったものも詳細は他作品を観なければわからないことかもしれませんが。)

 基本的な内容は

エヴァンゲリオンの考察 | ひとりよがり日記

  こちらに準拠します。こちらの内容を踏まえた上で話しますので、ぜひ読んでいただけると。後編は読んでも読まなくてもいいです。

 地球2個+月2個、という内容ですがなんとなく地球1個でも説明が付きそうなしたので、その説明をします。(そのブログと同じだとつまらないので。)

 地球の色味については「気の所為」でしょう。レイリー錯乱かなにかの現象で説明が付きそうな気がします。

  しかしながら、血のついた月とついていない月の説明が付きません。月は地球に対して常に同じ向きを向け続けており、例えば「月の表面と裏面で変わっている」ということは考えづらいからです。実際の月の裏側は隕石の影響でクレーターがぼこぼこできています。仮に表面と裏面で血のついている面とついていない面があるとすれば、もう少し月の表面にクレーターがあるはずでしょう。月の表面に比べ裏面にクレーターが多いのは、「地球の外側に向いている」からであり、表面が裏面と同様に地球の外側に向いている時間があるとすれば、クレーターがもう少しついてそうなものです。少なくとも表面と裏面が完全に一緒なクレーターとかあり得ないと思います。エヴァシリーズは変なところで科学に忠実なので。

 地球1個に対して月が2個(厳密に言うならば、衛星のほうが適切でしょうか)あるとしましょう。地上において月はずっと夜に見えているわけではなく、昼に見えるときもあります。これは空を見れば分かることです。つまり月はぴったり24時間で周回しているわけではありません。仮にそれぞれの月が等間隔で公転している、つまり地球上からみるとそれぞれの月が交互に見えているとすれば、作品中に矛盾する表現は(ざっと見る限り)無いのではないかなぁと感じました。(丁寧に確認したわけではないので、見落としとか違いとかあっても許して)「碇司令がいないのでミサトが指揮を執る」といった描写など、地球が2つあったほうが都合の良い説明が思い浮かびそうな情景もありますが。

 旧劇の世界で起こったサード・インパクトの結果として、新劇の世界が生まれたという大筋はひとりよがり日記様のものと変わりません。問題なのは、その後です。地球が1つだったとすると旧劇の登場人物はどこに消えたのでしょうか。

 私は、「破のサード・インパクト後」だと考えています。タイムスリップといったところでしょうか。仮にシンエヴァで「やり直し」のために擬似的なタイムスリップが行われるとすれば、エヴァ世界の中で時間跳躍は「人の技術としては確立されたものではないが、現象としては存在する」のではないかと考えます。「時計の針は元には戻らない。 だが、自らの手で進めることはできる。」という台詞より、未来への一方通行なタイムスリップ自体は可能になっている可能性はあると思います。

 いや、でもそれじゃーシンエヴァで戻るってなんだよ、出来ねーじゃねーか。

 そのお気持ちはよくわかります。旧劇のサード・インパクトで新劇の世界を展開したように、新劇のファイナル・インパクトでもう一度新しい世界を展開してやり直すとすればどうでしょうか。時計の針は巻き戻してませんが、擬似的にタイムスリップしたことになります。

 仮にミサトさんたち、WILLEのメンバーのみがタイムスリップしたとします。彼らは、序破の世界に入れません。なぜならそこにはすでに自分がいて、そこに入ると矛盾を生じさせるからです。だから、タイムスリップしたというより(自分が居たため)「せざるを得なかった」といったことになるでしょうか。WILLEのメンバーが時空をさまよう間に、破のサード・インパクトが起こり、自分が消滅したために地球に戻ることが出来た、そう考えられるわけです。(WILLEの拠点が月、という説もとりあえずここでは触れないでおきます。どちらでも本筋に変わりはありません。)破のサード・インパクトでミサトたちの性格が変わってWILLEを結成した、もしくはWILLEを結成したあとでミサトたちの性格が変わったと考えてもよいと思いますし、映画版のみを前提に考えるとすればそれが自然です。しかし、WILLEの設備には自衛隊のものが多く含まれており、自衛隊出身とみられる新メンバーがQで追加されていることを踏まえれば、おそらくゼルエルで死滅してしまったであろう破の自衛隊であるとするよりも、旧劇でLCL化した自衛隊であるとしたほうが自然ではないかと考えています。

 ちなみにこの説明でも、アスカが2人居たとして説明に矛盾はありません。なぜなら旧劇最後では(量産型にやられていたとしても)惣流アスカが「エヴァの中」に居たとすることが出来ますし、エヴァの中に居たとすればサード・インパクトの影響を受けないと考えられるからです。とはいっても、タイムスリップはしたと考えます。ミサトたちは「新劇の人物が死なないと地球に戻れない」一方でアスカは「新劇の人物の生死は地球にもどるのに関係ない」とします。アスカがタイムスリップしたのはたまたまミサトたちのタイムスリップに便乗したからであり、別に式波が生きていても戻れるわけです。式波も、たまたま他の人が死んでいたのに生きていたというだけです。それだけでも十分に説明可能かな、と考えています。

 旧劇のサード・インパクト後の新劇世界では、この理屈でいうと「シンジくんは旧劇の記憶を持っている」ということになります。なぜならば、旧劇サード・インパクト時にはエヴァの中に居たからです。アスカは別人が新劇で登場しているとしても、そこは説明不可能と思われます。

 しかしQに冬月が「記憶は消去されているがな」と述べています。ここで言う記憶は一見するとユイがコアにダイレクトエントリーしたことだけのように思えますが、旧劇全体の記憶と捉えると上記の内容を説明可能なのではないでしょうか。特定の記憶だけをピンポイントで消す技術とか、エヴァ世界あるのでしょうか?という問いに対する一種の答えなのではないかと考えています。

 しかしながら冬月はそれを知っている。詳細は省きますが、新劇シリーズではゲンドウ、冬月、カヲル、ZEELEの皆さんがなんらかの形で記憶を引き継いでいるのではないかと考えています。

 また、14年という期間に関して手短くまとめると、それは「旧劇及び新劇のサード・インパクトから」数えて14年になるのではないかと思います。(新劇で描かれた期間を足しても、14年ということには変わりないと思いますが。)

 旧劇のサード・インパクトの終わりを新劇のサード・インパクト直後の世界に飛ばされたと考えれば、どちらからも一致する14年がカウント出来ます。2001年から2015年(シンジが産まれてからサード・インパクトまで)が14年というのもありますが、個人的にはミスリードなのかな、と考えています。

 もちろんこれだけでは色々説明不足だとおもいますし、4号機消滅事件などまだまだ語り足りない部分もありますが、シンエヴァまでの残り時間で『未来からのホットライン』を読み切ったりしたいので、ここらへんで一度区切りたいと思います。